第4章
救急治療室の照明は、突き刺すように眩しく、そして冷たかった。ベッドに横たわる早子の心は、医師の厳しい表情と共に、奈落の底へと沈んでいく。
「藤原さん、あなたの状態はかなり深刻です」医師は眼鏡の位置を押し上げ、超音波の画像を指差した。「子宮外妊娠です。胚が子宮内ではなく、卵管に着床してしまっている」
「子宮外妊娠……」早子は虚ろにその言葉を繰り返した。
「ええ。通常の流産とは異なり、子宮外妊娠は迅速に処置しなければ、卵管が破裂し、大出血を起こして命に関わります」医師の声は平坦で、感情の乗らないプロフェッショナルな響きだけがあった。「直ちに手術を行う必要があります」
修を驚かせ...
ログインして続きを読む

チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章


縮小

拡大