第5章
ゆっくりと目を開けると、突き刺すような白い光に思わず顔をしかめた。病室は恐ろしいほど静まり返り、モニター機器から発せられる規則正しい電子音だけが、ここが病院であることを告げている。
壁の時計は真夜中を過ぎていた。窓の外は漆黒の闇に包まれ、遠くに東京の夜景が瞬いている。
「目が覚めたのね」
ベッドのそばから、聞き慣れた声がした。
顔を向けると、妹のさやかが赤くなった目をこすっている。ずいぶん長い時間、付き添ってくれていたのだろう。
「手術……終わったの?」早子の声は乾き、弱々しかった。
さやかは頷き、一杯の水を差し出す。「うん。先生、手術は成功したって。でも、かなり出...
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