第7章
小島葵視点
昨夜の一件で、すべてが変わった。
隼人先輩との間にあった、まるで剣を抜き合うような緊張感は消え去り、代わりに微かで、それでいて痺れるような空気が流れていた。
「今夜はデッキで晩餐にしない?」と、松本美咲が目を輝かせて言った。「灯りとワインも用意したの。ちょっと特別な夜にしましょ!」
「いいね」と私は同意して、隼人先輩を盗み見た。彼は海の方を眺めていたけれど、口元に浮かんだ笑みが、その機嫌の良さを物語っていた。
夕方になる頃には、海辺の別荘のデッキは夢のような空間に変わっていた。潮風に小さな灯りが揺れ、板張りのテーブルには季節の花びらが散らされている。遠くから響く波...
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