第102章

声のした方を皆が振り返ると、そこには無菌のグリーンの手術着に身を包み、冷静な双眸だけを覗かせた姫野理緒が立っていた。

彼女は先ほどまで別の準備室に控え、内部通信を通じて手術の全行程をモニターしていたのだ。

執刀医は一瞬呆気にとられたが、反射的に答えた。

「トシリズマブは投与しました。ですが効果はなく、むしろより強い副作用(リバウンド)を招いています」

「投与量は?」

「四〇〇ミリグラム、静脈注射です」

「馬鹿か!」

姫野理緒の声が鋭く響いた。

「彼のウイルス変異株は通常用量に対して耐性を持っている。それでは複製を加速させるだけだ! 標的薬を用いた介入阻害が必要だ。最高レベルの...

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