第138章

「疲れた?」羽鳥光は不思議そうに首を傾げた。「彼女、若手有望株の黒崎望と食事だったんでしょ? てっきり続きがあると思ったのに。どうして疲れるわけ?」

姫野茜はグラスの酒を啜り、何やら考え込んでいる。「たぶん、十中八九、黒崎望のせいじゃないわ。月城曜のせいよ」

彼女は二人の親友を見渡した。「そう思わない? 月城曜が絡むと、理緒はすぐに調子を崩すのよ」

個室がしんと静まり返った。

羽鳥光と桜崎芽依は顔を見合わせ、その表情から笑みが消えていく。

そうだ。六年が経った今でも、その名は姫野理緒にとって触れてはならない地雷原なのだ。

一方その頃、姫野理緒は車を飛ばし、市郊外にあるプライベート...

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