第14章

 

彼女はそう言いながら、傍らで頑なな沈黙を貫く月城律に触れようと手を伸ばした。

月城律は、サッと身を翻して姫野夏実の手を避ける。

彼は病床の藤堂心を見つめ、次いで姫野理緒と月城曜に視線を巡らせると、一言一句を噛み締めるように言った。

「パパ。事故じゃない」

その一言で、部屋中が瞬時に静まり返った。

姫野夏実の顔に張り付いていた笑顔が凍りつく。

「僕、見たんだ。心ちゃんが登る前に、知らない人がジャングルジムを触ってた。絶対に、誰かが彼女を傷つけようとしたんだ!」

急患室の空気は、一瞬にして凝固した。

姫野夏実の瞳の奥に、狼狽と驚愕の色が走る。

彼女は反射的に口を開こうとし...

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