第140章

凄まじい恐怖が、白河茜を瞬時にして飲み込んだ。

頭の中が真っ白になり、浮かぶのはただ一つの思考――逃げろ!

姬野夏実は言っていた。彼女さえ口を割らなければ、誰にもバレることはないと。

彼女は慌てて自分のバッグを掴むと、制服を着替える暇さえ惜しんで、転がるように部屋を飛び出した。

正面玄関は通れない。従業員専用の非常階段から抜け出すしかない。

だが、重い防火扉を押し開けた瞬間、彼女の希望は絶たれた。

黒い制服に身を包んだ、大柄な警備員が二人、立ち塞がっていたのだ。

リーダー格の警備員が、無表情に彼女を見下ろす。

「白河茜さんですね。実験室の安全規定について、責任者がお話を伺いた...

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