第145章

果然、彼女だったか。

世論操作からウイルスサンプルの窃盗まで、姫野夏実の狂気はもはや誰の予想をも超えていた。

彼女は、虎の尾を踏もうとしている。

……

月城グループ、ペントハウス。

月城曜のスマートフォンが鳴った。鈴木海斗からだ。

「月城社長、アリス先生の研究室(ラボ)へ何者かが侵入しました。重要なウイルスサンプルが一本、盗難に遭っています」

鈴木海斗の声は、かつてないほど重苦しい。

月城曜の顔から温厚さが瞬時に消え失せ、代わりに底冷えするような殺気が張り付いた。

彼は通話を切ると、二人の子供たちに向き直った。

「律、心ちゃんを連れて部屋で遊んでいなさい。パパは少し急用を...

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