第146章

「車を出して!」姫野理緒は鋭く命じた。

だが、退路は突如現れた数台のオフロード車によって、すでに完全に断たれていた。

ドアが開き、黒服の男たちが次々と雪崩れ込んでくる。彼女と、月城律が潜む小型トラックは瞬く間に包囲された。

絶体絶命。

姫野理緒はトラックを背に庇うように立ち、右手で保護ケースを強く握りしめた。だが、左腕は力なく垂れ下がったままだ。背中を冷たい汗が伝う。

その時だ。

強烈なヘッドライトの光束が数本、闇を引き裂き、エンジンの咆哮が急速に迫ってきた。

数台の黒塗りの防弾仕様車が包囲網を強引に食い破り、華麗なドリフトを決めて姫野理緒の傍らに停止する。

ドアが弾かれるよ...

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