第147章

「九条先生、お噂はかねがね」

藤堂理玖は微笑を浮かべて手を差し出したが、その瞳は笑っていなかった。

九条洸は一瞬呆気にとられ、目の前に立つ男の放つ圧倒的な威圧感と、その傍らで冷淡な表情を崩さない姫野理緒を交互に見やり、胸中に不吉な予感を走らせた。

「あなたは?」

「藤堂家、藤堂理玖です」

藤堂理玖という名が告げられた瞬間、周囲の記者たちが色めき立ち、焚かれた無数のフラッシュが白昼のように会場を染め上げた。

九条洸の顔色が変わる。

「九条先生は、私の妹の学歴に大変ご興味がおありだとか?」

藤堂理玖は手を引っ込めると、ポケットからシルクのハンカチを取り出し、今しがた握手したばかり...

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