第157章

「私よ」

姫野理緒の声色からは、何ひとつ感情が読み取れなかった。

「ああ」

電話の向こうから、月城曜の低く重厚な声が響く。

姫野理緒は無駄口を叩くことなく、手元にある写真の表と裏を撮影し、即座に送信した。

「写真は今日の午後、パリで撮られたものよ。子供たちは無事」

電話の向こうが、沈黙に包まれた。

……

Y市、月城グループ本社、最上階。

月城曜はスマートフォンをデスクに置いた。傍らに控える鈴木海斗は、息をするのも憚られるほどの緊迫感に圧され、身動きひとつ取れずにいた。

「『ゴースト』部隊をパリへ送れ。今すぐにだ」

月城曜の命令は短いが、そこには絶対零度の殺気が込められて...

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