第162章

月城家の本邸。

実質的な軟禁状態に置かれていた皇美玲は、月城曜が姫野理緒のために欧州で危険に晒されたと知り、完全に狂乱の淵へと堕ちていた。

息子に直接連絡を取ることも、屋敷から出ることもできない。だが、彼女には有り余る金と、怨嗟で煮え滾った頭脳があった。

彼女は電話をかけ、金切り声を上げる。その声音は鋭く、毒に満ちていた。

「六年前、姫野理緒が金のために子供を捨てて逃げたことをリークしなさい! 見出しはこうよ――『名門の追放妻、金のために高飛び――実母はまさかの鬼畜』!」

電話を切ると、彼女は鏡に映る自身の歪んだ顔に向かって冷笑した。

月城曜には手が出せなくとも、たかが女一人、ど...

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