第166章

姫野理緒は立ち尽くした。

「入れ」

彼は体を斜めにずらし、彼女を中へと促す。

マンションの内装はその持ち主と同じく、極限まで無駄を削ぎ落とした寒色系のミニマリズムで統一されていた。

だが、オープンキッチンの鍋がコトコトと音を立て、立ち上る温かな湯気と香りが、この冷え冷えとした空間に唯一の生活感を添えている。

「あなた……」

「もうすぐできる。座ってろ」

月城曜はダイニングの方を顎で示した。

姫野理緒は居心地の悪さを感じながら、テーブルにつく。

間もなくして、月城曜が数皿の料理を運んできた。

蓮の若芽の塩炒め、牛肉の強火炒め、そして乳白色に白濁した魚の頭と豆腐のスープ。

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