第167章

姫野理緒はそれ以上、何も言わなかった。

食事は、かつてないほど穏やかに進んだ。

話題はロンドンの天気や、子供たちの笑い話ばかり。あの驚心動魄な買収劇については、一言も触れようとしない。

まるで、あれは取るに足らない些細なエピソードだったとでも言うように。

食後、月城曜は彼女をスタジオまで送り届けた。

「来週、エーテルの祝賀会があります」

車を降りる間際、姫野理緒は口を開いた。

「月城社長にも、ご出席いただきたいのです」

月城曜は片眉を上げ、意外そうな顔を見せた。

彼女が自分のテリトリーへ彼を招待したのは、これが初めてのことだったからだ。

「光栄だよ」

祝賀会の夜。会場は...

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