第169章

夢の中は、入り乱れる炎と鼻を突く黒煙、そして心ちゃんを抱いて無限の闇を駆ける絶望に満ちていた。

彼女は弾かれたように目を覚まし、ベッドの上で上半身を起こした。胸が激しく波打ち、冷や汗がパジャマをぐっしょりと濡らしている。

部屋の中はあまりに静かで、早鐘を打つ自分の心臓の音さえ聞こえてきそうだ。

彼女は布団を跳ね除け、水を飲もうとリビングへ向かった。

リビングにはフロアスタンドが一灯だけ点いており、薄暗い光が家具の輪郭をぼんやりと浮かび上がらせている。

アイランドキッチンのそばに、長身の影があった。

月城曜だ。

濃紺のシルクのパジャマを身に纏い、背筋を伸ばしてコンロの上のミルクパ...

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