第17章

月城曜の唇の端に鋭い痛みが走り、鉄錆のような血の味が二人の口内に広がった。

その痛みと、突如として突きつけられた予期せぬ激しい抵抗によって、彼の泥濘んだ理性の底から意識が引き戻される。

彼は拘束を解いた。

姫野理緒は肩で息をしながら、口づけによって赤く腫れた唇を片手で覆い、もう片方の手の甲で汚らわしいものを拭い去るかのように強く唇を擦った。

彼女は目の前に立つ虚ろな男を冷ややかに見据える。その瞳は氷のように冷徹だった。

月城曜もまた、その場に立ち尽くし、自身が犯した過ちの重さに愕然としていた。

弁解したかった。激しい頭痛で理性を失っていたのだと、記憶の中の影と彼女を混同してしまっ...

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