第173章

月城曜の喉仏が上下に動く。その瞳の奥底で、激情の波が荒れ狂った。

そこには狂喜があり、切なさがあり、失ったものを取り戻した後の恐怖があった。そして何より、彼女を骨と血肉に揉み込んでしまいたいほど濃密な、もはや溶けだすことのない独占欲が渦巻いていた。

彼は恐る恐る、一寸刻みで、彼女の温かい掌から自らの指を引き抜いた。

そして身を屈め、指の腹で彼女の頬にかかる後れ毛をそっと払う。

その動作は、失われた秘宝に触れるかのように優しく、慎重だった。

あの朝以来、二人の間には奇妙な均衡が生まれた。

誰も、あの夜のことには触れなかった。

季節は巡り、姫野理緒が主導する神経再生プロジェクトは、...

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