第175章

月城曜はすぐに戻ってきた。両手にはそれぞれ、巨大な色とりどりの綿菓子が握られている。

彼はその一つを律ちゃんに、もう一つを心ちゃんに手渡した。

心ちゃんが勢いよく頬張ったせいか、綿菓子の一欠片がふわりと舞い、姫野理緒の頬に張り付いてしまった。

「動くな」

不意に月城曜が身を屈め、顔を近づけてくる。

姫野理緒は虚を突かれ、反射的に身体を強張らせた。

温かな指先が頬を撫で、その甘ったるい白雪を優しく拭い去る。

あまりに自然なその所作は、まるで過去に幾千回と繰り返してきたかのようだった。

その瞬間、姫野理緒の鼓動がトクンと跳ねる。

だが彼女は気づいていなかった。その甘美な一瞬が、...

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