第181章

翌朝。姫野理緒が寝室を出ると、月城曜はすでにダイニングに座っていた。

昨夜、温泉の縁で見せたあの取り乱した姿が、まるで幻であったかのように。

テーブルには、手の込んだ朝食が並べられている。

二人は無言のまま食事を終えた。空気には、奇妙な静寂が漂っている。

「今日、ロンドンに戻っていくつか処理してくるわ」

沈黙を破ったのは理緒だった。

彼女は自分のペースを取り戻す必要があったのだ。

「ああ」

曜は箸を置き、ナプキンで口元を拭う。

「運転手に送らせよう」

その反応はあまりに平然としていた。引き留めることも、問い詰めることもない。

理緒は自分のマンションに戻り、ドアを開けた。...

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