第181章

それは月城曜がいつも愛飲しているブランドだった。ジャマイカ・ブルーマウンテンの最高級豆で、コク深く、ほのかな酸味があり、余韻の甘さがいつまでも口の中に残る。

彼女は豆を挽き、お湯を沸かす。

やがてキッチンいっぱいに、濃くてまろやかな香りがふわりと満ちていった。

一杯、淹れ終える。

彼がいつも使っている白いボーンチャイナのカップに注ぎ、トレイに載せる。

トレイを手に、隣の部屋の玄関へ向かい、合鍵でそっとドアを開けた。

室内はしんと静まり返っている。書斎のドアはぴったり閉じられ、隙間から灯りがこぼれていた。すでに起きているのは明らかだ。

姫野理緒は腰をかがめ、コーヒーを載せたトレイ...

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