第182章

姫野理緒は彼に強いられるまま、不本意そうに手を掲げ、彼の顔を見上げた。

その瞳は勝利の喜悦に満ち、隠そうともしない笑みを湛えている。

その瞬間、彼女の顔に浮かんでいた笑みが、わずかに強張った。

表彰式の後は、恒例の記念撮影だ。

カメラマンは若い男で、熱心に声を張り上げながら指揮をとる。

「さあさあ、優勝したご家族の皆さん、こちらを見て! パパとママ、もっと寄って! もっと楽しそうに笑ってください!」

『パパとママ』――その言葉は、静かな湖面に投じられた小石のように波紋を広げた。

姫野理緒の身体が、無意識に硬直する。

月城曜はそんな彼女を一瞥すると、極めて自然な動作で腕を上げ、...

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