第190章

姫野理緒は我が子を抱きしめ、医師と看護師がその小さな腕に血管を探す様子を見つめていた。針が突き刺さった瞬間、彼女自身の心臓も鋭く抉られたかのように痛んだ。

どれほどの時間が過ぎただろうか。背後から鈴木海斗が近寄り、声を潜めて告げた。

「姫野様、月城社長がいらっしゃいました」

姫野理緒はハッとして振り返る。

そこには、ダークカラーのカシミヤニットを纏い、左腕を包帯で吊った月城曜の姿があった。その顔色は、病室にいた時よりもさらに蒼白に見える。

彼は救急処置室の入り口に立ち、人混み越しに彼女の腕の中にいる子供へまっすぐな視線を投げていた。その深淵のような瞳の奥には、隠しようのない焦燥が渦...

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