第193章

三日目の午後、彼女の個人アドレスに一通のメールが届いた。

差出人は月城曜の筆頭秘書。本文は冷酷なほど簡潔だった。

「データ受領。交換条件として、暁光ラボラトリーに対し、本日付で月城グループ医薬グローバルデータベースへのA級アクセス権限を付与する。本権限は、月城グループ中枢研究開発チームと同等のものとする」

姫野理緒はその文字列を見つめたまま、数秒間、見間違いかと思った。

彼女が差し出したのは、たった一人の心血であり、五年の歳月をかけた成果だ。

だが月城曜が返してきたのは、巨大なビジネス帝国が数十年にわたり蓄積してきた、研究開発の機密そのものだった。

これは交換などではない。

底...

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