第209章

息子の成長過程において、あまりにも多くの瞬間を見逃してしまった。これからの余生は、その空白を倍にして埋め合わせたい。

二人の子供を寝かしつけた後、律が暗闇の中で小さな声で尋ねてきた。

「パパは、おばあちゃんをどうするの?」

姫野理緒は優しく彼の髪を撫でた。

「パパがちゃんと処理してくれるわ。律はただ、これからは私たちがずっとそばにいるってことだけ知っておけばいいの」

律は彼女の懐に顔を擦り寄せ、ようやく安心したように瞳を閉じた。

深夜。姫野理緒はリビングの掃き出し窓の前に立っていた。

眼下の通りには、見覚えのある黒のベントレーが停まっている。エンジンはかかったままで、静かに彼女...

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