第210章

彼は、彼女を正そうとしている。

些細な、けれど重大な意味を持つ変化だった。

姫野理緒は彼を見つめ、その背中を追って倉庫を後にした。

……

あの陰謀は、ようやく幕を閉じたのだ。

姫野理緒の意識を浮上させたのは、何かをひそひそと言い合うような微かなざわめきだった。

「お兄ちゃん、パパを起こしてきなよ。それで一緒にママの朝ごはんを作るの!」というのは、心の提案だ。

「昨夜は帰りが遅かったんだ、もう少し寝かせてやらないと。それに、厨房は素人お断りだ。特に、塩と砂糖を間違えるような奴はな」というのは、律の反論だ。

「あれは失敗しただけだもん! たった一回だけ!」

姫野理緒は目を開け、...

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