第216章

しかし、最上階でエレベーターの扉が音もなく滑るように開いた瞬間、目の前に広がった光景は、彼女に懐かしさと同時に奇妙な違和感を抱かせた。

玄関は、かつてのような冷え冷えとしたモノトーンの配色ではなく、温かみのある原木とオフホワイトを基調とした空間に生まれ変わっている。

床には柔らかな羊毛のカーペットが敷き詰められ、足を踏み出しても音一つしない。

「わぁ! ママ、ここで転がってもいい?」

心は歓声を上げると、リビングにある雲のようにふわふわとした巨大なソファへ向かってダイブした。

一方、律は背中で手を組み、まるで査察官のように家の中を一周して歩く。

彼はまず子供部屋の壁をコンコンと叩...

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