第255章

「法務部に通達を」

彼は椅子の背に深くもたれかかり、平淡な口調で言った。

「『ゲリナチュ』の核心特許『GS07』に対する無効審判を請求する。理由は、三年前に我々が買収したドイツの研究所が保有する特許を侵害しているからだ」

鈴木海斗は言葉を詰まらせた。

「月城社長、ですが……以前の評価では勝算は低く、時間も労力もかかると……」

「勝つとは言っていない」

月城曜は窓外を見やり、深淵のような瞳を細めた。

「ただ奴らに思い知らせてやりたいだけだ。見てはならないもの、ましてや欲しがってはならないものが、この世には存在するとな」

彼が求めているのは商業的な勝利ではない。明確な警告だ。

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