第29章

しかし、月城曜が下した『厳正な対処』という四文字が、まるで巨大な山のようにのしかかっていた。手続きは避けられず、拘留は免れない。

姬野理緒は目を閉じ、ここ数日の出来事を何度も脳裏で反芻していた。

姬野夏実の手口は相変わらず稚拙だ。だが、その一つ一つが月城曜の疑心暗鬼を的確に刺激する。

私が甘かったのか、それとも彼が愚かすぎるのか。

おそらく、その両方だろう。

五年という歳月は男を成長させるのに十分だと思っていたが、忘れていた。「三つ子の魂百まで」――人の本質など、そう簡単に変わるものではないということを。

兄の藤堂権太がこの知らせを聞いたら、どれほど激昂するか。そんなことを考える...

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