第30章

二人の警官が咄嗟に彼女を羽交い締めにしていなければ、彼女はそのまま月城曜の胸に激突していただろう。

「娘を返して! 私をここから出して! あいつらが狙っているのは私よ、あの子は関係ない! まだ五歳なのよ!」

「月城曜、言いたいことがあるなら私に言えばいいじゃない! 私の心ちゃんを返して!」

月城曜は、彫像のように微動だにせず、ただそこに立ち尽くしていた。

「まずは落ち着くんだ」

「落ち着けですって?」

姫野理緒の感情が再び決壊する。

「娘があいつらの手に落ちているのよ! いつ殺されるかも分からないのに! 月城曜、お願い、私を行かせて! 私の命であの子の命を贖うから! ここから出...

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