第34章

月城曜の喉仏がごくりと上下した。乾いた唇から、砂を噛むような声が漏れ落ちる。

「告訴は、すべて取り下げろ」

彼は一拍置き、さらに付け加えた。

「今すぐ警察へ行き、手続きを済ませろ」

「承知いたしました」

鈴木海斗は一礼し、踵を返そうとする。

「待て」

月城曜が呼び止めた。重い沈黙が流れる。まるで、身を削るような決断を下すかのように。

「明日は、俺が直接出向く」

……

翌日。

姫野理緒は拘置所のゲートを出たところで、ピタリと足を止めた。

まさか、こんな場所で月城曜の姿を見るとは思わなかったからだ。

彼は今頃、病院で愛しい息子に付き添っているか、あるいは姫野夏実が引き起...

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