第37章

「子供……」

彼は譫言(うわごと)のように再び呟くと、腕の力をさらに強めた。

「俺たちの、子供……」

その言葉は、鋭い棘となって姬野理緒の胸を残酷に貫いた。

彼女は瞳を閉じ、目尻に滲みそうになる熱いものを必死に押し留める。

身動きひとつせず、こわばった体で彼の抱擁を受け入れ続けた。

夜は静まり返っていた。聞こえるのは互いの心音だけ。一方は狼狽して早鐘を打ち、もう一方は重く、抑圧されている。

どれほどの時間が過ぎただろうか。背後の男の呼吸が次第に穏やかになり、彼女を箍(たが)のように締め付けていた腕の力も緩んだ。

彼は眠りに落ちたのだ。ただ、その姿勢だけは崩さず、頑なに彼女を放...

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