第40章

足音が近づいてくるのに気づき、姫野理緒が顔を上げる。そこには、彼女を射抜くような深く暗い瞳があった。

「心ちゃんは……」

月城曜はゆっくりと歩み寄り、感情の読めない声で問いかけた。

「君が産んだ子なのか?」

リビングに漂っていた温かな空気は、瞬く間に霧散した。

姫野理緒は視線を逸らさず、月城曜の探るような眼差しを真っ向から受け止めた。そして、ただ事実を述べるだけの平坦な声で、はっきりと答えた。

「ええ」

たった一言。余計な説明もなければ、感情の揺らぎも一切ない。

用意していたはずの追及の言葉は、その簡潔すぎる肯定によって喉元で詰まり、行き場を失った。

彼女の澄み切った瞳と、...

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