第50章

「鈴木海斗は急用だ」

月城曜の説明は、簡潔にして要を得ていた。

姫野理緒は断るわけにもいかず、ただ頷くしかなかった。

帰りの車中、後部座席のチャイルドシートに座った月城律が、真面目腐った顔で口を開いた。

「パパ、運転もっと丁寧にやってよね。きれいなおばさん、一日働いて疲れてるんだから」

月城曜はバックミラー越しに息子を一瞥したが、何も答えなかった。

月城律はさらに続ける。

「パパ、きれいなおばさんはスミスおじいちゃんより凄いの? 鈴木おじさんが言ってたよ。きれいなおばさんが来ると、どんな問題も全部解決しちゃうって」

「ああ」

「だったらパパ、おばさんを見習わなきゃダメだよ」...

ログインして続きを読む