第52章

「素晴らしい解釈だ」

月城曜は思考の海から意識を引き戻した。

「いい物語というのは、作品の価値を倍増させる。エーテルさんはマーケティングをよく心得ているな」

姫野理緒は気分を害するどころか、その笑みをさらに深くした。

「月城社長のお目に留まるとは光栄ですわ。ですが、私にとってこれは商品ではありませんの。ですから今夜は展示のみで、販売はいたしません」

彼女は優雅に一礼する。

「他に質問がございませんでしたら、これにて失礼いたします」

そう言い残すと、彼女は未練のかけらも見せずに踵を返した。

月城曜はそれを引き止めなかった。

ただ、大気には彼女が残していった香りが漂っていた。微...

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