第53章

彼女が反応するよりも早く、剛腕が伸びてきて手首を強く握りしめた。

姫野理緒の体が強張る。

肌が触れ合った瞬間、手首から全身へ電流のような衝撃が走った。

「手が震えているぞ」

彼の声は低く、耳の輪郭をなぞるように響く。皮膚にかかる熱い吐息が、肌に粟を生じさせた。

「具合が悪いのか?」

姫野理緒の呼吸が止まった。

指の腹にある硬いマメの感触、彼が吐き出す息の匂い――そのすべてが鮮明すぎた。

眼窩が熱くなり、涙が溢れ出しそうになる。

だめ。

彼に見られてはいけない。

彼女は舌先を強く噛んだ。走る激痛が、わずかな理性を呼び覚ます。

次の瞬間、彼女は渾身の力で彼の手を振り払った...

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