第57章

『パスファインダー』。

数年前に匿名で登録したこのアカウントは、彼が「月城曜」という重枷から解き放たれ、唯一自由に呼吸できる聖域だった。

だが今日、彼はその聖域でさえも壁にぶつかっていた。

『R』。

どこからともなく現れたその正体不明の人物は、毎回彼の思考を正確に先読みし、反論の余地もない論理で彼の仮説を粉々に打ち砕いてくる。

特に、「基層コードの書き換え」という指摘は、彼の内側を完全に見透かされたような苛立ちを覚えさせた。

「鈴木海斗!」

「社長?」

ドアの外に控えていた鈴木海斗が、即座に入室してくる。

「調べろ。この『R』という奴が何者なのか」

月城曜の声には、抑えき...

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