第6章

その光景は、どう見ても奇妙なほど調和が取れていた。

「律ちゃん、パパが待ってるわよ」

姫野理緒は優しく月城律の頭を撫でた。

月城律は不承不承手を離し、何度も後ろを振り返りながらベビーシッターに手を引かれていった。彼は去り際に、大声で姫野理緒に叫んだ。

「綺麗なおばちゃん、明日うちに来るでしょ? 野原お婆ちゃんにイチゴケーキ作ってもらうからね!」

姫野理緒は彼の小さな背中が角を曲がって消えるまで見届け、ゆっくりと視線を戻した。

彼女は伏し目がちに、先ほど月城律に掴まれた白衣の裾を見つめた。そこにはまだ、子供の手のひらの温もりが残っているようだった。

月城曜。

私が五年前と同じよ...

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