第7章

「私の不注意だわ。さっき、スープをこぼしそうになっちゃった。曜、あなたは目が見えないから、書類を少し退けておくわね。汚したら大変だもの」

姬野夏実(ひめざき・なつみ)は甘えた声でそう言いながら、月城曜(つきしろ・よう)の隙を突き、素早くその資料をめくった。

写真の女性はマスクをして手術中だったり、あるいは横顔のプライベートショットだったりした。冷艶な顔立ちで、どこか姬野理绪(ひめざき・りお)の面影があるものの、纏う雰囲気は天と地ほどの差があった。

姬野夏実の手が止まる。

五年前の姬野理绪も美しかったが、眉間にはいつも温厚さと弱さが漂い、言いなりになるような女だった。

だが目の前のこ...

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