第107章

夜の帳が下りて久しい頃、静寂に包まれた別荘の外から、静けさを切り裂くようなエンジンの轟音と急ブレーキの音が響いた。

続いて、玄関の方から覚束ない足音が聞こえてくる。

西園寺玲央は、全身に濃厚な酒気を纏って帰宅した。商談は順調だった。先方の熱烈なもてなしに加え、彼自身の胸中に渦巻く苛立ちも手伝い、つい杯を重ねすぎてしまったのだ。

千鳥足で扉を押し開けると、リビングは闇に沈んでいた。唯一、二階の寝室のドアの隙間から、微かな明かりが漏れているだけだ。

酔いの熱が頭に上り、眼差しが険しく沈む。玲央は苛立たしげにネクタイを緩めると、酔いに任せて階段を上がり、強引に寝室のドアを押し開けた。

ベ...

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