第119章

橘詩織の言葉に、情け容赦など微塵もなかった。

彼女の瞳に宿る嘲笑と、隠そうともしない拒絶の色が、西園寺玲央の喉元まで出かかっていた弁明を強引に押し戻した。

言いたいことだけ言うと、彼女は怒りの炎を噴き上げんばかりの西園寺玲央から視線を外し、踵を返す。物陰にある自席へと歩みを進め、椅子を引いて腰を下ろした。

西園寺玲央はその場に釘付けになったまま、激しく肩で息をした。明らかに自分から逃げるようにパソコンに向かう橘詩織の背中を見つめ、心臓が雑巾のように絞り上げられる痛みを覚える。

机の上に置かれた黒いストッキングの塊が、嫌というほど目に焼き付く。それは極めて皮肉な光景だった。

彼女の心...

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