第十二章

「どうして、ですって?」

その理由以外に、祖父が二人の離婚を認めるはずがないではないか。

橘詩織は訳が分からず、夫を見つめ返した。

「爺さんはここ一、二年、体調を崩して薬漬けの生活だ。医者からも強い刺激は絶対に避けるようにと厳命されている。それなのに、お前は子供が産めないと告げるつもりか? 爺さんをショックで病床に伏せさせる気か?」

西園寺玲央の剣幕に、橘詩織はたじろいだ。

確かに、祖父の体調はこの一年で急激に悪化していた。だからこそ、曾孫の顔を見て余生を楽しみたいと、頻りに二人に子供を催促していたのだ。

それに、二人の結婚にはそもそも、西園寺玲央の母親が反対していたという経緯が...

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