第141章

夜の帳が深く下りる中、西園寺玲央と橘詩織は車内で一言も交わすことなく、沈黙のまま別荘へと帰り着いた。

車が停まるや否や、橘詩織は迷わずドアを開けて降りていく。一瞬の躊躇もなく、ましてや西園寺玲央を振り返ることさえせず、その背中はすぐに扉の向こうへと消えた。

西園寺玲央は運転席に残ったまま、すぐには動こうとしなかった。

彼は煙草に火をつけた。暗闇の中で明滅する赤い光が、彼の彫りの深い横顔を照らし出す。彼はうつむき、その瞳には深い闇が沈殿していた。

一夜は何事もなく過ぎた。

翌朝。西園寺玲央はけたたましい着信音で眠りを破られた。

ズキズキと痛むこめかみを押さえつつ携帯を取り上げる。画...

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