第153章

そう言い捨てると、橘詩織は全ての力を使い果たしたかのように、勢いよく背を向けた。西園寺玲央の顔色が、瞬く間に陰鬱なものへと変わったことなど、もう見ようともしない。

霧島湊は席に座ったまま、二人の対峙を愉しむように眺めている。手にしたティーカップを優雅に揺らすその仕草には、余裕さえ漂っていた。

橘詩織が背を向けたのを見て、彼はようやくゆったりと立ち上がった。そして極めて自然に手を伸ばし、微かに震える彼女の腕を、触れるか触れないかの距離で支えるような仕草を見せる。

その動作は労っているように見えて、実際には絶妙な距離を保っている。だが西園寺玲央の目には、それが何よりも目障りな挑発として映っ...

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