第168章

「交渉、ですか?」

その言葉を聞いた瞬間、高田社長の顔から愛想笑いが消え失せた。

彼は湯呑みを手に取ってゆっくりと茶を啜り、重たげな瞼を持ち上げて橘詩織を見やった。その眼差しからは先ほどまでの好々爺のような和やかさは消え、計算高い商人の冷徹さと、獲物を弄ぶような嘲笑だけが浮かんでいる。

「橘社長、どうやら立場を勘違いされているようだ。今、命乞いをしているのはそちらであって、私が頭を下げて商売をお願いしているわけじゃない」

「一週間以内にこれを納品できる業者が、私のところ以外にあるとでも? 他所はあんたの失敗を高みの見物と決め込んでるさ。こんな火中の栗を拾いたがる物好きはいないよ」

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