第十七章
カフェの店員が火傷の塗り薬を持ってきてくれた。幸い、霧島司の怪我は大事には至らず、病院に行くほどではないようだ。
裏口から二人で並んで出てくると、霧島司はまだ眉間に皺を寄せている橘詩織を見て、慰めるように声をかけた。「安心してくれ。ただのかすり傷だ、大したことない」
橘詩織は納得がいかないといった様子で口を開く。「私は厚着をしていたから、少しくらいかかっても平気だったのに……。帰ったら大事にしてね。化膿止めも忘れずに飲むのよ」
霧島司は橘詩織の甲斐甲斐しい小言を聞きながら、口元を綻ばせた。煩わしさなど微塵もなく、小首を傾げて彼女の言葉を最後まで聞き入る。
その光景は、学生時代の試合前...
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