第177章

懇親会の会場は、都心にある有名レストランの三階、宴会場だった。

全員が余裕を持って座れるほどの巨大な円卓。頭上ではシャンデリアが煌めき、その下へと次々に運ばれてくる繊細な料理からは、食欲をそそる芳醇な香りが漂っている。

「さあ、まずは私から一杯、敬意を表させて」

橘詩織は立ち上がり、ワイングラスを手に取ると、その場にいる一人ひとりの顔をゆっくりと見渡した。

「工場の危機を乗り越えられたのも、新たな提携が順調に進んでいるのも、ここにいる皆の尽力があってこそよ。この期間、残業続きで大変だったわね。本当にお疲れ様」

言い終えるなり、彼女は誰の言葉も待たずに顎を上げ、グラスの赤ワインを豪快...

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