第181章

一方、オフィスにて――。

霧島湊ほどの聡明な男であれば、橘詩織の言葉に隠された真意を汲み取るのに時間はかからなかった。彼は弾かれたように背筋を伸ばし、険しく眉根を寄せる。

橘詩織はさらに言葉を続けようとしたが、傍らの誘拐犯はもはや限界だった。

「御託はいい!」

男は受話器を手で塞ぐと、凄味のある低い声で命じる。

「さっさと金を要求しろ。余計な真似はするな」

ふいに音声が途切れたことで、霧島湊の推測は確信へと変わる。彼は間髪入れずに応じた。

「分かった。金ならすぐに振り込む手配をする。待っていてくれ」

その言葉を最後に、通話は切断された。

倉庫内は再び重苦しい静寂に包まれ、男...

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