第185章

橘詩織は指を止め、低い声で詫びを入れてテレビ会議から退出すると、無表情なまま顔を上げた。

ドアのところには、西園寺玲央が立っている。

明らかに急いで駆けつけてきた様子だ。仕立ての良いチャコールグレーのオートクチュール・スーツを纏っているが、ネクタイは少し緩んでいる。

その顔色は滴り落ちそうなほど陰鬱で、深邃な瞳には恐ろしい嵐が吹き荒れていた。視線は橘詩織の顔に釘付けになっている。

彼は大股でオフィスに入り込むと、背手でドアを閉め、握りしめて皺になった数枚の紙を、彼女の目の前のデスクに荒々しく叩きつけた。

橘詩織が視線を落とすと、一番上の紙に太字で『離婚訴状副本』と記されているのが目...

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