第186章

こじんまりとしているが、どこか温かみのあるその空間を眺め、橘詩織はようやく心から肩の荷が下りたように感じた。

終わったのだ。本当に、すべてが。

彼女は広々とした掃き出し窓へと歩み寄り、眼下に広がる煌めく夜景を見下ろした。そして携帯を取り出すと、アドレス帳から見慣れた番号を探し当て、発信ボタンを押した。

コール音が二回鳴っただけで、通話は繋がった。電話の向こうから、清水千尋の活力に満ち、それでいて少し気だるげな声が響く。

「もしもしぃ? こんな時間にどうしたのよ」

親友の聞き慣れた声に、詩織の張り詰めていた口元が、ようやく微かに緩んだ。

彼女は一つ息を吸い込み、努めて平静に、しかし...

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