第188章

ミュージカルの公演当日、国立大劇場の夜はきらびやかな光に包まれていた。

橘詩織は、体に程よくフィットしたペールオレンジのワンピースに、薄手のカシミヤカーディガンを羽織っていた。フォーマルすぎず、それでいて大人の女性らしい柔らかな印象を与える装いだ。

彼女が到着したとき、霧島湊はすでに入り口で待っていた。

「ごめんなさい、道が少し混んでいて」

橘詩織は歩み寄り、申し訳なさそうに言った。

「大丈夫、僕も着いたばかりだよ」

霧島湊の視線が彼女の姿を捉え、その瞳の奥に称賛の色が走る。彼は自然な動作で、劇場のカフェで買っておいた温かいカフェラテを差し出した。「外は少し冷えるからね。まずはこ...

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